第三順位の代襲相続で、遺産分割協議前に相続人が死亡してしまったケース

ご依頼いただいた相続に関する案件のうち、とても悲しい案件が発生いたしました。

このケースは、第三順位の代襲相続、つまり、死亡した方の甥姪が相続人という複雑なケースで、さらに養子縁組、離婚前の兄弟の子と再婚後の兄弟の子という半血兄弟間の相続も入り乱れ、相続人は70代前後の男女が8名、それぞれの相続分が最大と最小の間で10倍も離れていて、なおかつ相続財産が不動産しかない、という難しいケースでした。

相続財産に現金がほとんどなく、ごみ屋敷と化した築古の事故物件しかないため、相続人の誰かが住むというよりは、売り払って現金化して分けることが着地点としては最適でしょう。老老相続なので、早いうちに結論を出さないと誰かが認知症になったり、死亡した場合はとても厄介なことになる、と助言をしましたが、法定相続分の少なさに結局一人だけ納得されない方がおり、「うちの父(物故者の半血兄弟)は生前物故者に金をたくさん渡しているし世話もしてやった」「俺は長男だから云々」「俺の取り分を増やすなら同意してもいい」などと自己中心的な主張を続けたため遺産分割協議は不調、かといって相続財産も大きくないため、遺産分割調停を行うまでいかず、しばらく様子を見よう、ということで塩漬けになった案件でした。

亡くなった方の唯一の相続財産であるご自宅は、元来高齢で片付けができておらず、管理者をなくしてさらにごみ屋敷と化し、近隣からも不法投棄され、かといって相続登記がなされないという近所でも困った「空き家」になってしまいました。

そんな中で、しばらくして、知らない携帯番号から着信があり、出てみると相続人の奥様でした。

奥様曰く、ご主人が亡くなった、とのこと。そして、ご主人が信頼して相談していた先生にご連絡しました。

とのこと。

このご主人は、相続人の中で一番資力があり、相続分も多く、円満に解決できるよう相続人間の話し合いを主導してきた方でした。自営業で体を使った仕事をされており、亡くなったと聞いてまさかという思いでいっぱいでした。

この方が亡くなったことにより、相続が完了しないまま二次相続が発生し、相続人は亡くなった方の奥様のお子様を加え10名に増えました。

奥様やお子様はご主人が亡くなったことでそれどころではなく、またその塩漬けになった相続以外で、ご主人の相続そのものが大きかったため、ご主人の晩年を困らせた塩漬けになっている方の相続には協力する風は見られませんでした。

結局、相続が着地しないままさらに相続人が増えたことで複雑化してしまったことが悔やまれます。

危険で、近所から嫌がられる空き家問題を防ぎ、法定相続分でそれぞれが金銭を受け取る着地ができなかったのかと自分のふがいなさが悔やまれるケースでした。