相続した不動産の共有は避けるべき 迅速に換価分割を
相続が発生した不動産をどうするかという点で、相続人同士で話が付かないことが良くあります。
その場合、一旦法定相続分で共有登記をすることがありますが、これは絶対にお勧めしません。
遺産分割さえ終わらせればいい、相続登記さえ終わらせればいいと考えている専門家の中には、とりあえず共有登記で業務を完了させてしまうケースが残念ながらあります。
(そのほうが楽なのは痛いほどわかります)
故人の不動産を、複数の相続人で共有登記することは、不動産が負動産になる典型的なパターンです。
不動産を共有名義にしてしまうと売却できない
不動産を共有名義にしてしまうと、共有者全員が同意しない限り、1つの不動産としての売却ができなくなります。
売却活動をスタートするのも全員の合意が必要ですし、買い手がついたとしても、その金額で売りたくないと反対する人が1人でも出れば、売却手続きが進みません。
不動産を売却できないと、お金が手元に入ってきません。その一方で、不動産の所有者としての責任を負うことになります。
共有者が高齢化し、認知症になると、意思能力が欠けてしまい売却できなくなります。後見人をつけるか、亡くなるまで待つことになります。
また、相続人が亡くなれは、持ち分はさらに相続され、相続人が増えてしまい、合意形成がより難しくなっていきます。
中には、二束三文で自分の持ち分を不動産業者に売る相続人も出てきて、買い叩かれる可能性も発生します。
昨今社会問題化している空き家問題も、相続時に共有にしてしまったがために売却できず、どうしようもなくなってしまい空き家化しているケースが多いと感じます。
相続不動産の売却まで見据えた手続きを
司法書士は登記業務、税理士は納税手続きさえ終わらせてしまえば、業務としては終了です。
ですから、司法書士や税理士が提供する相続サービスで、相続人が相続した不動産・空き家の売却手続きまでを面倒見てくれるケースはほとんどありません。(そのノウハウもありません)
ですが、相続人の立場としては、できるだけ金銭的な持ち出しが無く、手間をかけず、責任を負わずに相続を終えることがベストです。
住んでいた方が亡くなってしまい、かつ相続人が誰も住まないのであれば、どうしようもない空き家にしないためにも、売却・換価を見据えた手続きが必要です。