相続・遺産分割の戸籍収集は自分でもできる?どこまで必要?戸籍取り寄せのやり方
相続・遺産分割で戸籍を取り寄せる理由
誰かが死亡した場合、その法定相続人を明らかにするために戸籍を集める必要が出てきます。
特に遺言書を書かずに死亡してしまった場合は、戸籍を集めないと
・死亡した人の銀行口座等が凍結され、預貯金を引き出すことができない
・遺産分割協議ができない
・死亡した人の不動産の相続登記ができない
という不利益を被ることになりますから、戸籍集めは必要です。
相続・遺産分割手続きで必要な戸籍の範囲
集める必要がある戸籍の範囲は、法定相続人を確定させるために必要な戸籍すべてです。
もっとも単純な第一順位相続の場合を見ていきましょう。
下の図は、父親が死亡し、妻と、2人の子が法定相続人という場合です。
この時必要な戸籍は、
・死亡した父親の出生から死亡までのすべての戸籍
・法定相続人である妻の現在戸籍
・法定相続人である長男の現在戸籍
・法定相続人である長女の現在戸籍
となります。相続に関係のない死亡した父親の両親や兄弟姉妹、法定相続人である長男の妻や子供の戸籍は必要ありません。
相続・遺産分割でその戸籍が必要な理由
死亡した父親本人の出生から死亡までの戸籍が必要な理由は、法定相続人となる子供の有無と配偶者(妻)の有無を調べるためです。
まれに、家族が知らない「前妻との間の子」や、「認知している子」、「養子」が存在する場合があります。
ですから、子供を確定するためにも、死亡した本人の出生から死亡までのすべての戸籍が必要になります。
また、法定相続人は、現在の戸籍があれば、生存していることがわかりますので、現在戸籍で十分です。(法定相続人である子が死亡している場合は、さらにその子に代襲相続するため、出生から死亡までのすべての戸籍が必要になる)
現在戸籍 全部事項証明書
現在戸籍は、存命の方であれば
現在の本籍地で取得できる全部事項証明書の事です。
現在戸籍を現戸籍(げんこせき)と言うことも多いです。
引用元:東京都 北区役所HP
最近はコンピュータ化されたこの様式を
目にすることが多いですよね。
コンピュータ化されたので
戸籍謄本と言わず全部事項証明書と言います。
改製原戸籍
法務省令によって改正される前の戸籍を改製原戸籍(かいせいげんこせき)と言います。
現戸籍と混同をふせぐために、はら戸籍という言い方をすることも多いです。
平成6年法務省令に基づく改製原戸籍
平成6年の法務省令によってコンピュータ化される前の戸籍です。
平成6年から順次コンピュータ化し、戸籍謄本が全部事項証明書に変わりました。
引用元:東京都 北区役所HP
縦書きですがワープロ打ちなので見やすいです。
生年月日や死亡年月日が旧字なので、慣れないと読みづらいです。
(例:昭和参拾弐年壱月弐拾参日)
昭和32年法務省令に基づく改製原戸籍
昭和32年の法務省令によって変わる前の戸籍です。
昭和32年以前は「家」単位の戸籍でした。(現在は夫婦と同氏の子)
簡単に言えば、おじいちゃんを戸主として、おばあちゃんからお父さん、叔父さん、それぞれのお嫁さん、伯母さん、婿養子の伯父さん、孫などが、みんな載っていました。
引用元:東京都 北区役所HP
手書きであることが多いです。
手書きですから、字の癖が強すぎたり、文字がぼやけていたりつぶれていたりして、何が書いてあるか読めないこともあります。
その場合、役所の方に聞くと、読み慣れているので、記載内容を教えてくれます。
除籍謄本/除籍全部事項証明書
死亡や婚姻、転籍や離婚などで、全員が居なくなった戸籍を除籍と言います。
コンピュータ化後なら除籍全部事項証明書。
コンピュータ化前なら除籍謄本と言います。
引用元:東京都 北区役所HP
相続や遺産分割のために自分で戸籍を取得する方法
もちろん、相続や遺産分割協議で必要な戸籍は、自分たちで取得することができます。
・自分の現在戸籍…本籍地の役所窓口(出張所含む)に出向くか、郵送で取り寄せることが可能です。
・死亡した親や配偶者の出生から死亡までのすべての戸籍…死亡した方の配偶者(妻)や直系卑属(子供)であれば、本籍地の役所窓口(出張所は不可であることが多い)に出向くか、郵送で取得することが可能です。
・自分の子供の現在戸籍…親の立場であれば、自分の子供の戸籍を取得することができます。
・自分の兄弟の現在戸籍…兄弟の戸籍は、正当な理由が無いと取得できません。役所に対して正当な請求であることの説明が必要です。
郵送で戸籍を取り寄せる方法
役所の戸籍を管轄する部署へ郵送にて戸籍を取り寄せることができます。
申請書と身分証明書のコピー、発行手数料として郵便局の「定額小為替」が必要です。
詳しくは、本籍地のホームページを調べると送付先や申請書のひな型などが詳しく記載してありますので、例えば「新宿区 戸籍 郵送」などで検索してください。
戸籍収集に必要な金額
法定相続人の現在戸籍は1通450円です。
死亡した方の戸籍は、除籍謄本や改製原戸籍が出生から死亡までのすべて必要となります。除籍謄本や改製原戸籍は1通750円、だいたい明治~昭和初期生まれの方は、平均5~7通ほどありますので、死亡した方の出生から死亡までの戸籍をすべて取得すると、役所に支払う手数料実費だけで、一人につき全部で5,000円程度かかります。
それとは別に、役所の窓口に行く場合は電車賃などの交通費が、郵送の場合は往復の送料(普通郵便でも1往復164円)や、定額小為替発行手数料(1枚につき100円)がかかりますから、これらの実費だけでも1000円~2000円程度かかります。
故人の出生から死亡までのすべての戸籍。何通くらい?
年代や、その人にもよりますが、故人の出生から死亡までのすべての戸籍は、
少ない方で4通。平均で6通くらいです。
役所で交付してもらう際に、通数×750円の手数料が必要です。
相続や遺産分割の戸籍収集を専門家に依頼する方法
弁護士、司法書士、行政書士等の国家資格者は、「職務上請求書」という書類を持っているため、委任状が無くても職務遂行のために必要な範囲で戸籍や住民票の収集が可能です。
慣れていない一般の方が、相続や遺産分割のための戸籍収集を自分で行うと、とても手間がかかり面倒ですので(専門家の立場でも手間がかかるのは同じですが)、数万円程度で専門家に依頼するというのも方法です。
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