相続した不動産(空き家)を放置してはいけない理由

親が亡くなった等で相続した不動産ですが
誰も住まないでいると空き家となります。

一番良いのは相続した不動産・空き家を
売却してしまう事ですが、

空き家を放置するデメリットとは何でしょうか。

人が住まない空き家はとても速く劣化する

人が使わないと長持ちしそうなイメージがありますが、住宅に関して言えば、人間が住まなくなった空き家は、とても速く劣化します。

トイレや台所、洗面台や洗濯機置き場などの水回りは、下水管とのあいだに排水トラップという設備を挟んでいます。
それにより、下水管からの悪臭や虫などが来ないようになっていますが、長い間水回りを使用しないと、排水トラップの封水が蒸発してなくなります。
そうすると、配水管が下水道と直結してしまい、虫やネズミが湧きます。

また、人の出入りが無いと換気がされないことにより、湿気によって畳、柱、梁が痛み、腐食します。木造住宅は特に劣化します。

そして、屋根や外壁、シロアリ対策は10~15年程度に1度の定期的なメンテナンスが必要なため、これらを怠ると雨水の侵入、シロアリによって、建物は劣化します。

もし、今は住まないが将来的に利用するつもりがあるなら、定期的に換気、水回りの確認をしてくれる空き家管理サービスの利用を検討するのが良いでしょう。

逆に、相続人や所有者が今後利用するつもりが無いなら、状態が悪くならないうちに売却することがオススメです。

相続した不動産・空き家の犯罪リスク

誰も住んでいない空き家に、不審者が住みこんでしまう事があります。

愛媛の受刑者逃走事件でも、その地域に空き家が1000件もあったため、警察官3000人体制でも逃亡した受刑者の確保に1か月程度の時間を要し、空き家の屋根裏が潜伏先として利用されていたのは記憶に新しいところです。

ただ不審者が住み着くだけでなく、その空き家が犯罪の現場になることも起こり得ます。空き家に外国人が住み着いて大麻を栽培した事件や、遺体を空き家の庭に埋めた事件などもありました。

若者が肝試しと称して不法侵入したり、たまり場になってしまう事もあります。

また、家庭ごみや粗大ごみを不法投棄されるリスクもあります。

相続した不動産・空き家の防災リスク 放火・不審火

日本全国で年間39,000件程度(平成29年1月~12月)の出火件数のうち、出火原因第1位は「たばこ」3,700件。第2位は「放火」3,500件(前年まで「放火」が1位)です。「放火」3,500件と「放火の疑い」2,300件と併せると5,800件程度ですから、出火件数の約6件に1件は、「放火」または「放火の疑い」となっています。
(出典 総務省 消防庁報道資料http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h30/08/300807_houdou_1.pdf)

燃えやすいものがある、ゴミがある、人の目が無いという条件が揃いやすい空き家は、放火のリスクも高いです。

相続した不動産・空き家の倒壊リスク 工作物責任による賠償リスク

不動産には、民法で工作物責任が定められており、所有者はその工作物の設置・保存の瑕疵から生じた損害について賠償する無過失責任を負います。

■民法第717条 (土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第717条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

通常は、まず占有者(実際に住んでいる人・賃借人など)が責任を問われますが、空き家の場合は占有者(実際に住んでいる人)がいないため、所有者がすべての責任を負うことになります。
工作物には建物本体だけでなく、ブロック塀等も含まれます。

所有者として家を適切に維持・管理していればいいのですが、空き家を適切に維持管理しないことによって、空き家の瓦が落ちたり、ブロック塀が倒壊して他人の物を壊してしまったり、人にけがをさせてしまったりすると、所有者は賠償責任を負わねばなりません。

相続した不動産・空き家の雑草繁茂 害虫発生 動物が住みこむリスク

戸建て住宅だと、夏場特に雑草が繁茂します。

かなりこまめに雑草を処理しても、一週間後には伸びていますから、空き家だと大変です。また、雑草が繁茂すると虫も発生し、近隣住民から苦情が入ります。夏場のスズメバチの巣なども発見が遅れ、周囲の迷惑になる恐れがあります。

さらに、人間の居ない安全なエリアだと認識して動物が寄り付いてきてしまうと、動物の糞尿により悪臭が発生します。

不法投棄リスク

適切な管理がされていないと知れると、不法投棄をされるリスクがあります。

一度不法投棄をされると、ゴミがゴミを呼び、加速度的に不法投棄が増えていきます。

相続した不動産・空き家の固定資産税・都市計画税が6倍にあがる恐れがある【特定空家】

土地には固定資産税と都市計画税(都市計画区域内の市街化区域内)がかかりますが、一定の条件を満たすと、税金が軽減されます。

小規模宅地特例というもので、建物が建っていれば200平米までは固定資産税は1/6、都市計画税は1/3です。

つまり、空き家を解体して更地にしてしまうと、小規模宅地特例が適用されなくなり、固定資産税は6倍、都市計画税は3倍になってしまう事から、空き家をそのまま放置したほうがおトクという状況が続きました。

このままでは空き家問題が解決しないということで、2015年5月に空き家等対策特別措置法が制定されました。

空き家等対策特別措置法に基づき特定空家に指定されてしまうと、小規模宅地特例が適用されなくなるため、固定資産税が6倍、都市計画税が3倍になります。

相続した不動産・空き家の特定空家は代執行で除却され、解体費用の請求が来るリスク

特定空家になると、空き家対策をしない所有者に代わって、行政が代執行をします。

行政による除却後、除却にかかった費用は、所有者へ強制徴収されます。略式代執行の場合も、資力ある所有者が判明次第、所有者は行政から任意での支払い請求、民事訴訟により解体費用の支払いを求められます。

相続した不動産・空き家の価格下落リスク

不動産価格の展望を正確に予期するのは難しいですが、

・人口が減少する(つまり、住宅の需要が減る)
・空き家が今後も増え続ける(つまり、競合物件が増える)
・ハウスメーカーやパワービルダーは新築物件を共有し続ける
・地主の税金対策で、今後もアパートが増え続ける
・元安により中国の購買力が減る(不動産価格を底上げしてきた中国人需要の減少)
・2020年にオリンピックが終わる
・日本の円安政策がいずれ終わる
・金融引き締めが起きる

事を考えただけでも、土地や住宅価格が値下がりするリスクはありそうです。

相続した不動産・空き家はまずは相談を

いずれにしても、不動産・空き家を相続したら、まずは相談してください。
相続が発生して、相続人同士で遺産分割協議が終わってない段階でも構いません。

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